はじめに
INTRODUCTION

イノベーション創出思考法について

  "イノベーション"と聞くと、何を思い起こすでしょうか。世代によりますが、携帯音楽端末(ウォークマン)、ゲーム、検索ソフト、携帯電話、音楽配信サービス、ペットボトル飲料、液体洗剤・・・などを思い浮かべるでしょう。大小さまざまですが、例を挙げるときりがありません。さて、これらの"イノベーション"と言われているモノ・コトはどうやって生まれたのでしょう?そこには必ず、イノベーションの種となる閃きがあったと言われています。
  これまでに、多くの発想法・思考法・問題解決法が研究され利用されてきています。

  しかし、イノベーションを創出することを目的とした発想法・思考法はほとんどありません。「イノベーション創出思考法」は、イノベーションの種となる閃きを促進し、その発想を企画案としてまとめていく手法です。この手法は、現状の分析や事例の調査などから改善策を帰納的に発想するのではなく、新しい解決策を演繹的に発想していきます。また、この手法は、グループや組織の力ではなく、自分の力でイノベーションの種となるニーズを発見・創出し、それをシーズと結びつけ、新企画を創出することができる手法です。

  経済・社会活動の考え方が、Goods-Dominant Logic(モノ中心論理)からService-Dominant Logic(サービス中心論理)へと移行し、今やFunction- Dominant Logic(機能中心論理)の考え方が必要になっています。Function -Dominant Logicとは、世の中の全ての活動・事象はシステムであると考え、その機能を中心として思考するべきである、という考え方です。これからのイノベーションには、機能中心に発想していく思考法が必要です。機能中心の発想法・企画法は、製品・サービスといった事業分野に関わらず活用することができます。本書で、機能中心の発想法である「イノベーション創出思考法」の基本を学んでいただきたいと考えています。

  本コースでは、イノベーションを創出するアイディアが出やすい、脳(思考)の状態を達成させるための思考手順体系を学ぶことができます。ここでいうアイディアは、「創出」される場合もあり、「発見」される場合もあります。この思考法の基本は、次々と自問自答していくことにより、自身の脳を活性化させていくことです。そして、「手順にしたがって思考を進めていくと、自然に自分が求める何かを発見してしまう、あるいはアイディアがでてきてしまう」、ための思考手順体系と言えます。この思考手順体系によって発見力や発想力を高め、イノベーション創出に役立てることができます。
  この思考手順体系は、革新的な新製品や新サービスはもちろん、新ビジネスモデル・新業務システム・新組織、などを創りだすのに役立ちます。ですから、自ら起業を目指している方、企業で企画関連の部署にいる方、ヒントはあるがうまく具体化できない方、業態の変更などの新たな企画・展開を必要としている方、部長・課長になったが何をするべきか悩んでいる方、など、新たな企画が必要だと考えている方には、是非習得していただきたいと思います。


          イノベーション創出思考法研究会
          代表  黒須 誠治